マニュアルアカデミー
企業において欠かせない取り組みの一つとして挙げられるのが、業務改善です。現状に問題がある、問題はないもののより良くしたいと考えた際に実施する取り組みです。
しかし、『具体的にどうすれば良いかわからない』と感じる方も多いかもしれません。
そこで、業務改善の概要や実施したいフレームワーク、実際に業務改善することによってどういったメリットがあるか解説します。この記事を読むことによって業務改善の必要性も見えてくるので、ぜひご覧ください。
目次
そもそも業務改善とは
フレームワークの概要
業務改善に役立つフレームワーク
フレームワークを活用して業務改善することのメリット
自社に合ったフレームワークを導入しよう
そもそも業務改善とは、現在行っている業務の中で発生している「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけ、それを改善していくことをいいます。
ムリとは、対応可能な範囲を超えて業務を行っているようなケースです。一部の従業員に負担がかかって残業しなければ間に合わなかったり、チームで協力して取り組んでも対応できないような納期が設定されていたりする場合をいいます。
ムダとは、不必要な作業や効率化できる作業のことです。能力と比較すると業務の負荷が小さいことをいいます。
ムラとは、担当者によって作業時間や作業品質にバラツキが生じている状態のことをいいます。
業務改善に役立つのがフレームワークです。フレームワークとは「枠組み」を意味する言葉であり、課題に合ったフレーム(型)を選択することによって効率良く、かつ効果的に業務改善を目指すことができます。
業務改善のつもりで取り組んだことが、必ずしも現状の改善につながるとは限りません。場合によっては意味のない取り組みとなってしまい、時間やコストだけがムダになってしまうことも考えられます。
フレームワークでは問題となっている部分の思考を整理するための手順や、具体的な進め方などが定められているので、何から始めるべきか迷う場合にも効果的です。
いち早く問題解決の最適解を見つけたい場合にも活用できます。
ここでは業務改善に効果的な10種のフレームワークについて紹介します。自社でどのようなものを実践すべきか検討する際の参考にしてください。
PDCAサイクルは、フレームワークの中で最も基本的な考え方の一つです。以下の頭文字を取ったもののことをいいます。
【概要】
まず、課題となっている部分を見つけ、それを改善するための計画を立てます。PDCAサイクルを成功させるためには「P」の計画段階で課題となっていることの本質を見極めることが重要です。
計画が明確になったら実際に行動に移します。
その後、実行した計画が効果的だったかを必ず確認する必要があります。ここで課題解決につながった場合は次なる課題を見つけ、PDCAサイクルを回していきます。
もし課題が解決できていなかった場合は改めて計画に立ち返って見直します。
5W2Hとは、以下の5つの『W』と2つの『H』を指します。
【概要】
情報伝達における基本的な手法である5W1Hに「How much」をプラスしたのが5W2Hです。
現在、情報を伝える際に不足している情報があるためにミスが発生しているような場合は、必要な情報を盛り込んだ5W2Hを実践していきましょう。話がより具体的になるため、少ない情報量でもわかりやすく伝えられます。
情報伝達として報告をする際だけではなく、プレゼンテーションやマーケティング、企画書の作成などを行う際にも役立つフレームワークです。
BPMNは「Business Process Model and Notation」の頭文字を取ったものです。
業務に必要なプロセスを最初から最後まで図式化することでわかりやすくまとめたフローチャート手法のことをいいます。
表記する際に使用するのは国際標準規格に認定されている四角形や矢印、丸などの図形です。
全体の流れを視覚的に理解できるようになるため、業務内容や必要な行動を把握しやすくなります。文章だけでは説明が難しいようなポイントもBPMN表記法を活用することでわかりやすく伝えられるようになります。
どの部門がどのような業務を担当しているのかが把握できるため、トラブルが発生した際には迅速に対応先を判断できます。
ECRS(イクルス)は、以下の頭文字を取ったものです。
【概要】
主に現在の業務フローの中でどこを改善すべきか見つけ出し、改善していくために使われるフレームワークです。
不要な業務を行っている場合は排除し、似たようなプロセスや手順など、まとめられるものは結合します。
再配置では、プロセスの順序や配置を見直し、適切なものにしていきましょう。これにより、全体の流れがスムーズになります。
最後に複雑になっているプロセスを簡略化し、理解しやすい状態に整えます。
QCDは、生産管理において重要となる以下の3つの単語の頭文字を取ったフレームワークです。
【概要】
品質とコスト、納期はそれぞれ製造業において重視すべきポイントと言えます。これらのバランスを整え、必要に応じて改善します。
はじめに行うのが品質の改善です。どれだけコストが安く、納期が短かったとしても品質が悪ければ問題になります。ただし、品質を求めすぎるとコストと納期の面で問題が起こってしまうので、どの品質レベルを求められているのかを明確にしてから取り組むことが重要です。
ロジックツリーは、発生している問題や課題に対し『なぜ?』を繰り返して原因を掘り下げる方法です。
例えば、現在残業の時間が長いことを課題として考えていく場合は「人手不足」「ムリな納期設定」「業務の難易度が高い」といったことが考えられます。
ここで出てきた原因をまた一つずつ掘り下げていきます。
「人手不足」については「採用活動が難航している」「離職者が多い」「時間帯によって作業可能な従業員の数に差が大きい」などです。このように、一つずつ原因を考えて書き出していくことにより、物事を論理的な目線で見られるようになります。
問題を解決するのに必要な具体的な原因が見つかれば、その対策を講じます。短時間で原因を特定するのにも役立ちます。
フィッシュボーンダイアグラムは、まるで魚の骨のように見える形で原因と結果の関係を表現していくフレームワークです。
問題や課題があるものの、その原因が多すぎてうまく整理できないような場合に活用できます。
まず、魚の頭部分となるのが解決すべき問題で、そこから直線上に背骨のような形で線を引きます。この背骨から各原因に対して大骨と呼ばれる線を引き、大骨からさらに大骨に影響する細かな要素を小骨として整理していく形です。
特に以下の4つが重要な要素と考えられています。
【重要要素】
この他に「Measurement(検査・測定)」や「Environment(環境)」も含めて図を作成していくこともあります。
SWOTは、以下の4つの頭文字を取った言葉です。効果的な形で経営やマーケティング戦略を立案する目的で使用されます。
【概要】
戦略を策定する際は、自社の強みを明確にし、それを活用していかなければなりません。ただ、弱みがある場合はそれを適切な形で補う必要があります。
自社の強みを発揮するための機会と、考えられる脅威にはどういったものがあるかも明確にしておきましょう。脅威としては、競合や規制といったリスク要因があります。
脅威を明らかにしておくことは将来的なリスクに気づくきっかけになります。
KPTは、シンプルな方法でプロジェクトや活動を振り返りたいと考えた時に活用可能なフレームワークです。以下の3つの頭文字を取っています。
【概要】
今回評価できるポイントは次回も継続することが望ましいため、どこが良かったのかを判断します。
次に、どの部分が問題であり、改善すべきかを判断します。
今回の活動を通して次回から新しく取り組んでいくべきことや挑戦したいことなども明確にしておきましょう。
個人で行うことも可能ですが、チームメンバーで上記の話し合いを行うことで共通の意識を持てます。
バリューチェーンとは「価値の連鎖」を意味します。製品やサービスを提供する際に、どの工程で価値が生まれているのかを分析するのに役立つフレームワークが、バリューチェーン分析です。
自社の強みと弱みの両方を可視化することにもつながります。
代表的な手順は以下の通りです。
【基本的なフロー】
VRIO分析とは「Value(価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の頭文字を取ったもののことです。
これらそれぞれで強みを分析することで自社にとって優位性があるポイントがわかり、効率の良い経営戦略の立案が可能になります。
主なフレームワークについて紹介しました。こういったフレームワークを活用して業務改善していくことにより、以下のようなメリットが期待できます。
フレームワークを活用した業務改善に取り組むことで、ムリ・ムダ・ムラが解消されて問題が解決していき、生産性が向上します。
企業が成長したり、売り上げを伸ばしていったりするために生産性を向上させることは欠かせません。そのために何を実施すれば良いかわからず悩んでいる場合も、業務改善から取り組むと良いでしょう。
現在抱えている問題の原因がどこにあるのか、効率良く把握するためのフレームワークもあります。特に原因が複雑である場合は、大元となっている直接的な原因を探そうとしてもなかなか見えてきません。
フレームワークで原因を一つひとつ考えることにより、改善していかなければならない大きな問題を引き起こしている部分が見えてくるようになります。
個人で取り組むのではなく、会社としてフレームワークを実施していくことにより、行うべきこと、改善しなければならないことなどの認識を統一できるのもメリットです。
そのためには一部の従業員のみがフレームワークに取り組むのではなく、チームメンバーと一緒に実践していきましょう。
どのようなフレームワークなのかチームメンバーへ詳しく説明しておくことも重要です。
フレームワークを使用しなくても問題の解決や課題となっている原因を考えることは可能です。しかし、それには多くの時間が必要になります。
フレームワークは型としてやらなければならないことが決められているため、どのフレームワークに取り組むのかを決めた後は、実行するのみです。
これにより、ムダな思考時間の発生を防ぐことができる点もメリットと言えるでしょう。
業務改善は労働環境の改善と直結しています。職場においてムリ・ムダ・ムラが発生している場合、働きやすい環境とはいえません。
従業員に過剰な負担がかかっていたり、能力に見合わない簡単な仕事を与えられたりする場合、モチベーションの低下につながります。
同じ会社で働いているすべての従業員にとって働きやすいように労働環境を整えていきましょう。
いかがだったでしょうか。業務改善に導入したいフレームワークや、実践することによるメリットを紹介しました。
各フレームワークの特徴を踏まえ、自社に適したものを見出せたかと思います。
実践するフレームワークが決まったらそれらをマニュアルでまとめるのもおすすめです。フィンテックスでは各種マニュアルの作成をサポートしています。
本当に効果的で役立つマニュアルになるようにお手伝いしているので、ぜひご相談ください。
つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス
監修者
企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。 金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。 趣味は茶道。
2024.12.23
2024.12.20
2024.12.19
2024.12.19
2024.12.19
2024.12.19