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業務改善

介護業界で業務効率化が求められるのはなぜ?理由&行うべき対策

介護業界では人手不足をはじめとするさまざまな課題を抱えています。これらの課題に対処するために有効なのが、業務改善です。
ですが、具体的になぜ業務改善が求められているのかよくわからない方もいるのではないでしょうか。

そこで、介護業界における業務改善を検討している方のために、業務改善が求められる理由や具体的な業務効率化の方法を解説します。この記事を読むことで、どのような形で業務改善に取り組むべきかが理解できるようになります。ぜひご覧ください。

マニュアル作成のコツ

目次
介護業界で業務効率化が求められる理由とは
介護業界で業務を効率化する方法
介護業界で業務効率化を実施する際のフロー
介護業界で業務効率化することのメリット
介護業界で業務効率化をする際の注意点
業務効率化により職員にも利用者にもメリットがある

介護業界で業務効率化が求められる理由とは

介護業界において業務改善が必要とされる大きな理由には、深刻な人手不足と介護需要の増加が挙げられます。それぞれ解説していきます。

深刻な人材不足

近年は少子高齢化の影響もあり、人手不足に悩んでいる業界が増えています。介護業界についてはその中でも特に人材が不足しているといえるでしょう。

これは、介護業界はハードな職場が多く、労働環境が厳しくなりやすいことも関係しています。また、介護業界では医療関係者や利用者、その家族など、さまざまな立場の人と関わる必要があります。

そのような中で人間関係のトラブルが生まれやすく、ストレスを感じやすいことから離職につながってしまうこともあります。

これらの理由により、事業所によっては新規採用を行っても応募が少なく、人材が定着せず人手不足に陥るケースも少なくありません。

介護需要の増加

少子高齢化の影響は介護需要の増加とも大きく関わっています。今後はさらに少子高齢化が進むことにより、若い人と比較して高齢者の割合が増えていく状況です。

総務省が発表したデータによると15~64歳にあたる生産年齢人口は年々減少しており、2050年には2021年と比較して29.2%も減ると考えられています。一方で75歳以上の割合が増えていくため、働き手が不足する状況の中で多くの高齢者の介護を行っていかなければなりません。(※)

人手不足の改善は難しいと考えられることから、必要になってくるのが業務改善です。効率的に業務を行うことで、限られた人数でも対応できるようになるでしょう。
そのための対策には時間がかかると考えられるため、早い段階から取り組むことが重要です。

(※)

参考:総務省:生産年齢人口の減少

介護業界で業務を効率化する方法

業務改善として効果的な方法は業界によって変わってきます。ここでは、介護業界で業務を改善していくにあたり、効果的な方法を5つ解説します。

5Sを意識する

日々の業務の中で意識したいのが「5S」です。これは、それぞれ以下のSを指します。

【5S】

  • 整理:不要なものを整理し、いらないものは捨てる
  • 整頓:必要な時に必要なものをすぐに取り出せるように整頓する
  • 清掃:掃除をしながら点検も行う
  • 清潔:常にきれいな状態を保ち、不潔なものと分別する
  • しつけ:定められたルールを守り、そのための習慣を作る

整理や整頓、清掃などが重要であると理解されていても、人手不足のために実践が難しい場合もあるでしょう。ですが、これらはすべて安全な介護を提供していくために確実に行わなければならないことです。

一人ひとりが5Sを意識して取り組むことが求められます。

業務の流れを見直す

介護業務の流れを見直しましょう。その中で3Mと呼ばれる「ムリ・ムダ・ムラ」があった場合は改善していくことが重要です。ムリ・ムダ・ムラをなくすことによって業務効率が向上するだけでなく、職員1人あたりの負担軽減にも寄与します。
現在どのような部分で流れが悪化しているのか、どのように改善できるのかを職員同士で話し合うことも重要です。

マニュアルを作成する

業務マニュアルを作成しておくことにより、それを参照するだけで新人の教育・研修に役立つようになります。
特に新人の中には業務の手順がわからず、苦戦している方もいるでしょう。
しかし、人材・人手不足が課題となっている介護業界では、先輩に質問する時間や機会が確保できず、結果的に業務効率が改善されないままのケースもあります。

こういった時の対策としても作業の手順をまとめた業務マニュアルを作成しておくことが大切です。

システムを導入する

効率良く業務改善を行っていくために活用したいのが、各種システムです。介護業界に特化したシステムの中から、事業所に合ったものを導入してみてはいかがでしょうか。

例えば、事務作業を簡略化できるものや、現在時間のかかっている作業を自動で行えるものがあります。これらの付帯作業にかかる時間が削減できれば、それだけ介護に充てられる時間も増えるでしょう。
人材・人手不足の課題を解決するためにも有効な方法です。

情報共有の方法を工夫する

現在の情報共有方法に課題があり、スムーズに運用できていない場合は、情報共有の効率化を進める必要があります。

事業所によっては、紙ベースで情報共有を行っているところもありますが、現代ではこれは効率の良い方法とはいえません。コミュニケーションツールを導入したりインカムを活用したりして最新の状況をいち早く共有できる仕組み作りが必要です。
業務に不慣れな職員が周りに相談しやすい環境を構築できれば、悩む時間を減らし、効率的に作業できる環境を整えられます。

介護業界で業務効率化を実施する際のフロー

実際に業務改善を実施していこうと考えた際には、どういった流れで行えば良いのでしょうか。ここでは、介護業界で業務改善を実施する際の具体的なフローを解説していきます。

①事前準備を行う

業務改善を効率良く進めていくためには、事前準備が重要です。業務改善は1人では行えません。
そのため、まずは現場の業務に携わっている人材でチームを作りましょう。

チームは、マネジメント層のほか、中堅・ベテラン層といった人材だけではなく、若手の職員も入れてバランスの良い形にしていくことが重要です。
さまざまな角度から課題や問題点を適切に判断できるようになります。チームを組む際は、業務改善を行う具体的な理由や目標といったものを共有していきましょう。

②課題や問題を可視化する

現在、どのような課題・問題があるのかを具体的に可視化します。可視化していく際のポイントは、職員にヒアリングを行うことです。
一人ひとりから話を聞くことにより、具体的な課題・問題を把握することが可能になります。

直接話を聞くのも良いのですが、厚生労働省が公開している「課題把握シート」を活用する方法も有効です。(※)
現在問題となっている箇所を可視化できれば、改善が必要なポイントも明確になります。

参考:(PDF)厚生労働省:4 ツール集[PDF]

③実行計画を立てる

問題の可視化ができたら、業務改善を行うための実行計画を立てます。実行計画を立てる際は具体的に内容を決めることが欠かせません。
例えば、『急いで作業を行って時間効率を良くする』といった計画では、具体的に何を行うべきかが明確ではありません。

時間効率を高めていくためには何が必要か、どういったことを行えば良いのか考えた上で対策を検討していくことになります。ツールを導入する、対応できる人数を増やすなど、事業所に合った方法を選びましょう。

④業務改善を実施する

計画した内容を実施していきます。この時、一部の職員のみで取り組むのではなく、全体で意識して取り組んでいくことが重要です。
また、どの順番で取り組むべきかは難しい課題ですが、規模が小さく、ある程度の効果が期待できるものから優先していくと良いでしょう。

業務改善に取り組み、その効果を実感できれば、職員のモチベーション向上にもつながります。

⑤効果測定を行う

業務改善を実施した後、必ず行いたいのが効果測定です。効果測定を行わずにいると実施した業務改善が本当に効果的なものであったのか判断できません。
そのまま大きな効果が得られない業務改善を継続することがないようにしましょう。

最初に定めておいた問題・課題が解決できたのか、具体的にどの程度の効果があったのかなどを測定し、結果を分析します。予定していた通りの効果が得られなかったものについては見直しを行い、さらに業務改善を進めていきましょう。

介護業界で業務効率化することのメリット

業務改善というと「時間やコストがかかるし、面倒」と感じてしまうこともあるでしょう。しかし、実施することで以下のようなメリットが得られます。

メリット①職員の負担を軽減できる

業務改善に取り組むことにより現在現場で発生している問題や課題の解決が目指せるため、職員の負担を軽減することにつながります。
バタバタ毎日忙しく働いていてまともに休憩時間が取れないような現場でも、時間がかかっている業務が効率化されて短時間で済むようになれば、しっかりと休憩時間を確保できるようになります。

特に年齢を重ねると体力も衰え、若いころのように働けなくなっていきます。職員の年齢層が高い場合は特に意識して業務改善による職員の負担軽減に取り組んでいきましょう。

メリット②離職率の低下につながる

業務内容がハードで毎日ムリをして働かなければならないような職場は長続きしません。より良い職場環境を求めて転職されてしまう恐れがあります。
一方で日々の負担が軽減され働きやすい職場作りができるようになれば、離職率の低下が見込まれます。

また、人間関係のトラブルによって離職してしまうケースがありますが、業務改善の一環としてコミュニケーションを活性化する取り組みを行うことで人間関係のトラブルも防止しやすくなるでしょう。
業務負担が小さくなり、人間関係も良好な職場であれば、離職率は大幅に低減すると考えられます。

メリット③サービスの質が向上する

介護の現場において求められるのが、質の良いサービスの提供です。職場環境が改善され働きやすくなれば、職員のモチベーションが高まります。
すると、利用者に質の良いサービスを提供できるようになるため、職場環境はさらに良いものになっていくでしょう。

利用者の満足度が向上すれば、その家族はもちろん、ケアマネージャーからの評価も高まります。評価されることが増えれば、これもモチベーション向上につながるため、業務改善を実行することは非常にメリットが多いといえるでしょう。

介護業界で業務効率化をする際の注意点

介護業界で業務改善に取り組んでいくにあたり、いくつか注意しておきたいことがあります。職員に負担をかけないこと、きちんと検討してからツールを導入することの2点を重視してください。

注意点①職員に負担をかけない

職員のために行う業務改善であったとしても、そのための取り組みが結果的に職員に大きな負担をかけてしまうことになれば理想的とはいえません。
例えば、業務改善を目的としたツールを導入したものの、使い方があまりにも難しくて何日も勉強しなければならず、精神的な負担が大きくなるようなことは避けましょう。

ただでさえ、業務改善により、これまでとは異なる方法で業務を進めることは、職員にとって負担となります。こういった状況に加え、業務改善のために一部の業務を掛け持ちしなければならなかったり、対応のために残業が増えたりするのは良くありません。

特に短い期間で大きな効果を求めると負担も大きくなるので、職員にムリをさせずに済むような期間を設定して取り組んでいくことが求められます。

注意点②きちんと検討してからツールを導入する

業務改善につながるようなツールを導入すれば、それだけで必ずしも効果が得られるとは限りません。大切なのは、現在の課題や問題を解決できるもの、使いやすいものなどを導入することです。

課題や問題の解決につながらないツールを導入しても、結局役に立たない場合もあります。また、どれだけ機能性に優れていたとしても難しくて使いこなせないようなツールを導入してしまえば、徐々に使われなくなるでしょう。
ツールを導入する以上コストがかかることになるので、慎重に検討し、導入を決定する必要があります。

業務効率化により職員にも利用者にもメリットがある

いかがだったでしょうか。介護業界で求められている業務改善について、必要性や具体的な実施方法を解説しました。
人材・人手不足が問題となっている介護業界だからこそ業務改善を行い、働きやすい環境を整えましょう。

そのための具体的な方法として、業務マニュアルの作成が効果的です。ただ、どのようにマニュアルを作成すれば良いのかわからず、困っている方もいるかもしれません。
フィンテックスでは、丁寧にヒアリングを行い、現場で役に立つマニュアル作成を行っています。ぜひご相談ください。

つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス

監修者

監修者の写真

中丸 貴仁

企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)

<略歴>

フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。 金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。 趣味は茶道。

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