マニュアルアカデミー
多くの工場では、生産性を向上させるための取り組みに力を入れています。例えば、効果的な業務改善ができれば生産性の向上につながるでしょう。
ただ「具体的に何をすれば良いのかわからない」と悩んでいる方もいるはずです。
そこで、業務改善を始めたいと考えている方のため、現在の製造業が抱える課題や業務改善による利点、実施のためのステップなどを解説します。この記事を読むことで、より効率的な作業につなげるためにはどうすれば良いかが見えてくるので、ぜひご覧ください。
目次
製造業が抱える課題
製造工程を改善することの利点
工場内の業務を改善する際のステップ
工場内の業務改善を行う方法
工場における業務改善のポイント
業務改善の進め方を事前に確認しておこう
製造業が抱える課題として、工場の生産ラインが抱える課題と、社内の情報共有に関する課題の2つが挙げられます。それぞれ概要を確認しておきましょう。
生産ラインが抱える課題はさまざまです。
まず、現在使用している機械に関することが挙げられます。機械が古い、または使いにくい場合、効率的な生産ができません。ですが、機械類は高額なものが多く、気軽に買い替えを検討することは難しい場合もあるでしょう。
予算などの関係から機械の導入が進まず、自動化できる部分を人の手で行っている企業もあります。
また、そもそも人手不足の状態に陥っていて、効率的な作業ができずにいる工場も多いようです。
他にも、機械の稼働スケジュールに問題があるために生産効率が悪い、材料や部品が恒常的に不足しているなどの課題を抱えることもあります。
製造業において工場内の作業を効率よく行っていくためには、情報共有が欠かせません。部門間での連携がスムーズに行われていない場合、工場での製造がストップしてしまうこともあります。
特に各種情報の共有に紙を使っている場合はリアルタイムでの共有ができず、課題と感じてしまうこともあるでしょう。
資料や書類を作成し、印刷、必要な担当部署に配るといった形では、漏れや無駄も発生しやすくなります。
業務のデジタル化が進んでいない場合は、情報共有が難しくなるのが課題です。また、社内の情報共有が不十分であるために在庫管理の効率が悪くなってしまうこともあります。
製造工程を改善することにより、最終品質の向上や生産量の拡大、安全性の確保、トラブル防止などの効果が期待できます。
それぞれ確認しておきましょう。
工場などでの製造工程を改善することは、最終品質を向上させることにもつながります。
例えば、これまで人が行っていた検品を機械による自動化した場合、検品精度を高めることが可能です。
これにより、全体的な製品の精度が向上します。これは、顧客満足度も向上するでしょう。信頼度の高い製品を作ることは、取引先との信頼関係を構築する上でも欠かせません。
最終品質の向上によりこれまで以上に商品が評価され顧客の満足度が上がれば、リピート購入や口コミでの評価につながることも期待できます。
企業としてより上を目指していきたいと考えている場合も、最終品質の向上を目指すことは重要です。
製造工程を改善することで業務効率が良くなれば、その分だけ生産量も拡大していきます。ただ単純に生産量を伸ばしていこうと考えるだけでは、なかなか効果はありません。
業務改善ではそのために必要な無駄の排除やまとめられる作業の見直しなどを行うことで、効果的に生産量の拡大が目指せます。そのためには、前述した最終品質の向上のための取り組みを同時に行っていくことも重要です。生産量は増えたものの、品質が低下した、仕上がりにムラができて製品にならないものが増えてしまったというのは問題です。
生産量が拡大し、それだけ売り上げを伸ばせれば、企業にとっての利益拡大になります。
適切な形で製造工程を改善していくことにより、安全性の確保ができるようになります。
製造工程の改善では、従業員が安心して働けるように事故などのリスクを低減させることも重要です。
特に工場内ではさまざまな事故リスクがあるため、危険なポイントがある場合は改善を目指していきましょう。安全性を確保することによって、従業員が安心して働ける環境になります。
これは、作業スピードの向上や、効率よく作業することにもつながっていくでしょう。
製造工程の改善により、トラブルを防止する効果も期待できます。
例えば、工場では設備トラブルなどにより生産現場の稼働が停止して大きな損失につながってしまうことも珍しくありません。
設備トラブルは、普段の定期点検が十分にできていなかったために発生してしまうこともあります。製造工程の改善を行うにあたり、定期点検の実施に関してルールを定めておけば、そういったこともなくなるでしょう。
また、品質関係のトラブルの中には、ヒューマンエラーによる管理不足が原因となっているものもあります。これらも製造に関する基本的なルールが統一されていなかったり、マニュアルが整備されていなかったりする場合に発生しやすいトラブルです。
製造工程を改善し、品質トラブルを防ぐための取り組みが行えればトラブル防止につながります。
実際に工場内の業務を改善していくためのステップを確認しておきましょう。はじめに業務内容の洗い出しと可視化を行い、目標設定と改善策の立案実行へと進んでいくことになります。
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はじめから業務改善に取り組むのではなく、先に業務内容の洗い出しをします。こうすることで現状業務の可視化ができるようになり、改善が必要なポイントが見えてくるためです。
業務内容の洗い出しを行ったら、その中から無駄や無理が発生しているポイント、作業のムラができやすいポイントを探しましょう。
この際、マニュアルを精査することも欠かせません。例えば、何年も前に作られていて現在ではほとんど役に立たないマニュアルになっていないでしょうか。マニュアル自体がない場合は新しく作り直すことを考えなければなりません。
マニュアルがあることで、作業に慣れていない人でもベテランの従業員と同様の作業ができるようになります。作業が属人化してしまうのを防ぐだけではなく、業務効率の改善にもつながる重要なポイントです。
業務改善に関する具体的な目標を設定しましょう。
目標を設定する際は、達成可能なものにすることが重要です。実現の可能性が低い大きな目標を立てたとしても、達成することができなければモチベーションが低下します。
「これまで3時間かかっていた作業を30分で終わらせる」などの目標設定は無理があるでしょう。小さな改善から挑戦し、それができたらさらなる改善を行うように意識すると効果的です。
そのため、従業員の話をよく聞いて目標を設定していくことが求められます。目標を設定したら改善策を立案し、実行に移していきましょう。
やりっ放しになるのを防ぐためには、どの程度効果があったのかきちんと評価することも重要です。評価の結果、さらに改善が必要なポイントがあれば見直したり、高い効果が得られた部分は改善策を継続したり、工夫してみてください。
工場内の業務改善を行うにあたり、具体的な方法を解説します。何から行えば良いのかわからず悩んでいるのであれば、IT・DX化、備品・機械の徹底管理、作業工程・環境の見直し、フレームワークを導入するなどのポイントに注目してみてください。
現在アナログで行っている部分のIT・DX化ができる場合は、積極的に改善していくことをおすすめします。工場ではさまざまな形でIT・DX化が行われており、大規模な業務改善につながっているケースも少なくありません。
例えば、発注業務を電子化することにより、従来と比較して大幅に工数を削減できることもあります。IT・DX化により作業効率が改善したり、人の手で行う作業を自動化したりすれば、人手不足問題の解消につながることもあるでしょう。
近年は多くの工場で人手不足の問題が深刻化しています。求人を出してもなかなか新規の応募がなく、困っている企業も多いのではないでしょうか。そういった企業こそ積極的なIT・DX化に取り組んでいく必要があります。
備品や機械類は管理を徹底していきましょう。
例えば、備品の使用に関するルールが曖昧だと収納場所が固定されず、必要なときにどこにあるのかわからない状況になることもあります。
また、機械類は適切なタイミング・頻度でメンテナンスを行い、安全に使い続けられるように整備しておくことも重要です。使い方に関してはその機械を使用する従業員が正しく理解し、どのような操作ミス、事故の可能性があるかなども理解しておかなければなりません。
備品や機械を徹底管理することは、思わぬ形で事故が発生するのを防ぐためにも大切なことだといえます。
単純に作業効率の改善につなげるだけではなく、従業員の安全性を高めていくためにも備品や機械を徹底管理していきましょう。
必要に応じて作業工程や環境の見直しも行っていくことになります。
例えば、現在の作業工程がわかりにくい場合は、何か無駄が発生していないか確認してみましょう。工程をまとめたり、簡略化させたりできる場合は行っておきます。
また、現在の作業工程では将来的に誰かケガをしてしまうリスクがあると感じる部分に関しては、早期に見直しが必要です。作業環境に関しても、変更することで効率化が目指せる部分は従業員で意見を出し合いながら取り組んでみてください。
例えば、設備の配置を変更する、整理整頓を行うなども必要です。
適正な作業環境を作っていくためには「5S」と呼ばれる5つの要素に注目してみましょう。
5Sとは、以下の5つのことをいいます。
【5S活動】
まずは5S活動が行えているか確認しましょう。その上で見直しが必要なポイントを探し、改善につなげていきます。
5S活動は、現場の安全性を高めていくためにも重要です。整理・整頓・清掃・清潔・しつけそれぞれを達成するためにどういった工夫が必要かも考えていかなければなりません。
業務改善につながるようなフレームワークを導入するのも効果的です。
さまざまなフレームワークがありますが、例えば前述した5Sは「リーン」と呼ばれるフレームワークのひとつでもあります。無駄を排除することにより効率的なプロセスを構築するフレームワークです。
そのためには、現在発生している課題を特定しなければなりません。一度では改善が難しいこともありますが、無駄の特定と改善を繰り返すことにより業務プロセスを効率よく改善していきます。
また「シックス・シグマ」というフレームワークは、製品やサービスの品質のばらつきを抑える手法です。統計分析手法、品質管理手法などを用いて品質・顧客満足度の向上につなげます。
他にも製造業ではさまざまなフレームワークが活用されているので、自社に合ったものを取り入れていくと良いでしょう。
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工場で業務改善を行っていく際には、小さな改善を繰り返し、大きな成果に結びつけていくことが重要です。
例えば、工場全体の効率化を目指しているとしても、各作業現場の小さな効率化から始めることが求められます。
また、実際に現場で働く従業員から改善案を募りましょう。日々の業務の中で「この作業は効率が悪い」「この工程は危険」と感じているポイントが見えてきます。
ただし、寄せられた意見すべてが必ずしも業務改善につながるとはいえません。そのため、優先順位を考え、効果が高いと思われるものから実践していく必要があります。
実際に決定された改正案を実施していくのは現場の従業員です。無理な目標設定や作業を考えてしまうと、従業員にとっての負担が大きくなってしまうこともあるため、注意しましょう。
いかがだったでしょうか。製造業の現場や工場内で実施したい業務改善について解説しました。具体的な方法や実施のステップなどについてご理解いただけたかと思います。
業務改善というと大きな目標を立ててしまいがちですが、小さな改善を繰り返していくことが重要です。
そのためには、各種手順をまとめたマニュアルを作成すると良いでしょう。フィンテックスでは業務マニュアルや操作マニュアルの作成に対応しています。
現在すでにあるマニュアルを見直したいなどのご相談も可能ですので、ぜひご連絡ください。
つい読んでしまうマニュアル作成のリーディングカンパニー、株式会社フィンテックス
監修者
企画営業部 営業本部長 / 経営学修士(MBA)
<略歴>
フィンテックスにて、マニュアル作成に関する様々な顧客課題解決に従事。 金融系からエンターテインメント系まで様々な経験から幅広い業務知識を得て、「分かりやすいマニュアル」のあるべき姿を提示。500社以上のマニュアル作成に携わる。また、複数の大企業でマニュアル作成プロジェクトの外部マネージャーを兼務している。 趣味は茶道。
2024.12.23
2024.12.20
2024.12.19
2024.12.19